教育現場の皆様へ

平成34年度の学習指導要領改訂で、高等学校保健体育の「現代社会と健康」に、新たに「精神疾患の予防と回復」の項目が盛り込まれることになりました。それによれば、指導要領本文には「精神疾患の予防と回復には,運動,食事,休養及び睡眠の調和のとれた生活を実践するとともに,心身の不調に気付くことが重要であること。また,疾病の早期発見及び社会的な対策が必要であること。」と記されています。学習指導要領解説においては、1.精神疾患の特徴と2.精神疾患への対処として記載されています。この中では、うつ病、統合失調症、不安症、摂食障害の4疾患については具体名を挙げて理解されるように指導することが求められています。

学習指導要領解説では、心身の不調の早期発見と治療や支援の早期の開始によって回復可能性が高まることを理解できるようにすることに加えて、人々が精神疾患について正しく理解するとともに、専門家への相談や早期の治療などを受けやすい社会環境を整えることが重要であること、偏見や差別の対象ではないことなどを理解できるようにすることも求められています。

1980年以降中学高校の保健の教科書には、精神疾患名を挙げての精神保健に関する記載が一切なくなっていました。今回の改訂により教科書に精神疾患名ならびにその症状や対処が記載されることは、実に40年ぶりのことです。現役世代の教員の中には、精神保健の講義経験のある先生はいらっしゃらないことになります。

世界保健機関(WHO)によれば、生涯のうち4人に1人は何らかの精神疾患に罹患しているにも関わらず、3人に2人は受診の機会を失しています。この数値に比べると、平成26年患者調査の精神疾患による受診者数392万人というわが国の患者数はまだ明らかに低めの数値です。日本のような医療先進国にあっても、精神疾患に罹患しながら実際にはかかりつけ医すら受診していない人が多数存在することになります。回復可能性に関するエビデンスが蓄積される中、実に惜しまれる状況です。多くの精神科医は、公教育を通じて殆どの子どもたちが精神保健を学習することを非常に意義深いことと捉えています。

このように精神疾患はごくありふれた病気でありながら、その発症のピークは10代後半から20代にあることは、あまり知られていません。身体の疾患と同じく,早期発見・早期治療が大事であり、一人ひとりが基本的な正しい知識(疾患名,症状,治療方法,回復可能性,受診や相談窓口等)をもつこと、誰でもかかる可能性があるという認識をもち、正しい対応(相談したり援助を求める等)をとれることが、その後の回復にとって非常に重要です。

このサイトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の委託研究「児童・思春期における心の健康発達・成長支援に関する研究」の成果物として、教育現場と地域の精神保健・医療・福祉資源をつなぎ、こども達の支援のみならず、教員の働き方改革にもつながる専門家とのリンケージをめざすものです。改良を重ねながら、社会実装されたサービスシステムとして、多くの皆様に活用していただきたいと願っております。

参考文献

高等学校学習指導要領解説 平成30年7月

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1407074.htm(最終確認2018-12-2)

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